見上げた空は広かった
「痛い」
それしか言葉が出なかった。

アルベルトは腕の力を緩める。
そのまま私の目を見つめた。

彼の目が一瞬、親の帰りを待つ小さな男の子の様な目に見えた。

アルベルトが私にキスをする。
胸がときめいたりキュンとしたりなどしなかった。
ただ、私の中の母性本能みたいなものが出てきて、彼を受け入れないといけないという気持ちと、彼を受け入れて守りたいという気持ちが同時に押し寄せた。

アルベルトの目を憐れみと今まで辛かったんだろうなという同情とそして私も一緒だよという共感を混ぜた何とも言えない感情で見つめた。

彼が私をベッドまで連れて行く。
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