見上げた空は広かった
僕らはバーに着きカウンターでメニューを見ながら何を飲むか悩んでいた。

「私、ギネス」
「それしか飲まないよな」
「そんな事ないけど、何する?」
「うん、コロナでいいや。頼んどいて、俺ちょっとトイレ行ってくる」

そう言って俺はハナにお金を渡すとトイレに向かった。
ハナが俺の部屋のドアをノックするまでの間、俺はまたいつものようにラウラの事を考えていた。

考えれば考えるほど深い闇の中に自分が埋もれていくような気分になる。
どうしようもないからドラッグを使う。
どうしようもないからアルコールを飲み続ける。
孤独だと思いたくないからそう思った時はハナに連絡するする。

そしてそんな俺を彼女は何も言わずに受け入れる。

俺たちは付き合っていないし付き合う予定もない、それだけは明確だった。


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