見上げた空は広かった
A4サイズの封筒の上の方にアルベルトと名前が書いてあった。

アルベルトは話を聞いている風ではなくただ封筒の中身の書類を自分で読んでいた。

きっと退屈なんだろう。
私も正直、退屈だった。
右手で持ってたペンをおもむろに回す。


「名前なに?」
一瞬ビクッとした。右横から低い声がした。


「ハナだよ。君は?」
アルベルトって見たから知っていたけどとりあえず聞いた。
「アルベルト。どこから来たの?」
「日本だよ、アルベルトは?」
「イタリア」

言われてみればなんか納得した。

それから特に会話が続く事はなくただ先生の声が私達の耳を通り抜けていった。
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