見上げた空は広かった
俺が彼女に初めて出会ったのは入学後初めてのオリエンテーションの日だった。

俺はその日とてつもなく苛立っていたことを鮮明に覚えている。
いつまでも終わらない話のせいで一向にコカインを吸う時間がなかったからだ。

俺の横にはアジア人の女の子が座っていて退屈そうにペンを回していた。

オリエンテーションが始まるときに配られた封筒の上には一人一人の名前と学生番号がプリントしてあって彼女のプリントにはハナと書かれていた。

地元のローマの大学を中退するはめになった俺はヨーロッパの小さな大学に編入した。

僕は退屈しのぎに隣の女の子に話しかけた。
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