君とだから、歩いて行きたい。


「はい、そこまでー!」

「……へ?」



考え事に没頭していた私の脳内にいきなり響いてきた声。


何事? そう思いながら声の主は顔を見なくても分かるわけで。



「なーにが"へ?"よ、この馬鹿!」

「誰かさんに馬鹿って言われるほど馬鹿じゃないんですけど…」

「つべこべ言わなーい! 手を動かす!」

「………」

「ほれほれ!」



差し出されたプリントの束を嫌々受け取り、わざとらしい程の大きな溜め息をつく。


私の目の前に座りプリントの束を纏めているのは、親友でありこのクラスの学級委員長である、仁(ひとみ)さん。


しっかりしてるし仁ほど学級委員長に向いてる人物を私は知らない。



「仁さーん」

「誰が仁さんだボケぇ」

「お口が悪いよー」

「誰のせいだボケぇ」



作業を手伝わされている私に向かって言う言葉ではないだろうよ、仁さん。


そして本当にお口が悪いなぁ。

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