君とだから、歩いて行きたい。


どういうこと…?


お母さんと暖は知り合いなの…?


頭が追いつかない私の前で、一体何が起きてるの……?


誰か教えてよ。


説明して。


何も知らない私は、蚊帳の外にいるみたい。


目の前にいるお母さんと暖は、2人の空気からして知り合いなんだってことが分かった。


だけどどうして?


私が暖と知り合ったのは高校に入ってから……。 その前からお母さんが暖を知ってたなら話くらいしてくれてたはずでしょ…?


それじゃあ……2人は…。



「前からの…知り合い……?」

「「っ!!」」



私の言葉に2人の肩が一瞬上がったのを見逃さなかった。


それがどんな意味を表しているのか。


どんな理由があるのか私には分からないけど、きっと大切で、重要なことなんだと思う。


それだけは私にも分かった。


何も話さない2人を前に私は動けないでいた。


どうしたらいいんだろう…。


このままお母さんと家に帰るべき…?


それとも暖とどこかでちゃんと話すべきなの…?


1人葛藤をしていると、震えて、今にも消え入りそうな暖の声が聞こえた。



「お、久しぶり…です……」

「ひさ、しぶり、ね…。……元気、だった…?」

「ぁっ、はい…」

「そう……良かった…」



どこかぎこちない2人の会話に耳を傾けながら不安な気持ちが襲ってくる。


お母さんと暖は前から知り合いだった。


私の知らない2人がいた。


それだけでも充分大きなダメージを受けてるのに、この胸騒ぎはなんなの…?


どうして、こんなにも泣きそうな気分になるの…。


ここから逃げだしたいのに、今逃げちゃいけない。そんな気さえしてくる。


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