ハイスペックイケメンなんてお呼びじゃない!~バツイチナースは恋に無関心~
思った以上に楽しくてside航平
約束の土曜日。
時間ピッタリに迎えにいくと葉月さんは、動きやすいけどオシャレな感じのマリンスタイルで弥生ちゃんも似た色合いで可愛い服を着ていた。

2人ともお揃いの小ぶりのリュックを背負っていて、葉月さんは更に少し大きめのトートバッグを持っていた。

『おはようございます、葉月さん。
今日は1日楽しみましょうね。』


そう、笑顔で伝えると


まだ、この状況を受け入れ難いのだろう彼女の笑顔は硬かった。


今日すこしでも、柔らかい笑顔が見られたら。

そう思いながら車で遊園地へと向かう途中で予想外に手作りのおにぎりを貰った。

遊園地に開園からと言うのもあり高速使えば近いとはいえ朝早めの時間なため俺の分も用意してくれていた。

弥生ちゃんに合わせた小ぶりなサイズのおにぎりを4つ。
具はシャケにおかかこんぶ、梅にツナマヨ。
どれも塩加減も良く美味しかった。
普段朝はコーヒーだけな事も多いけど、誰かと食べるご飯の美味しさを再認識させてくれた。


遊園地に着いてからもアトラクションの待ち時間にいろいろ話をして弥生ちゃんとは随分打ち解けられた。
俺の口調も渉と話す時くらいになってきていた。

そんな俺たちを見た葉月さんは最初こそすこし複雑な気持ちの表情をしていたけれど。

僕たちが打ち解けて仲良くなっていくと葉月さんが柔らかい笑顔で見守っているような感じで隣に居てくれた。


その表情をなにより見たかった俺は嬉しくて仕方なかった。
俺の表情も緩んでいただろう。

最後そろそろ帰ろうって時疲れからか弥生ちゃんが眠そうで、歩くのもキツそうになった時おんぶを買ってでた。

『弥生ちゃん、良かったらおんぶするからおいで』

そう声をかけてしゃがむと

『こうくん、ありがとう』

そう、呟いてポスンと乗ったので。
そのままおぶって立ち上がった。

『すみません、重たいですよね』

そう葉月さんに、言われるもそこまででは無い。

『大丈夫ですよ、最近は渉のところを見ていて憧れてたんです。』

そういうと葉月さんも穏やかに微笑んでくれた。

俺も心から穏やかに笑った。


この和やかな雰囲気がホントに居心地よくて、ますます離れ難い気持ちになる。

2人と一緒に居られる確約とした立場が欲しい。

頑張らねばと気持ちを新たにした。

とにかく次の約束もあるし、遊園地以外にもいろんな所に行きたい。

きっと楽しくて仕方なく、穏やかな時を過ごせるから。
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