俺が愛した、あおいの話
4人掛けのテーブル席に、ひとみちゃんがまず腰を下ろして、そのあと山田にどうぞと言われて、彼女の目の前に座った。

「山田さん、こっち座ってくださーい!あたしそっちに移りますからぁー!」

そう言いながら移動を済ませて、
「生でいいですかぁー?」彼女は尋ねた。

「…あのさ、ひとみちゃん」
「分かってますから!」

「え?」

「もうダメだって分かってますから。今日は楽しく飲みましょう?」

「そう、、、ですか」

不意をつかれて戸惑いながらも、その提案に了解した。

若干スッキリしない気もしたが、安堵の方が大きかった。

「ところでっ!山田さんって、チョコレート貰ったんですかぁー?」

運ばれてきたビールを飲みながら、どうでもいい会話が始まった。

ほんとに積極的な子みたいで、感心するほどよく喋ってる。

苦手な上司の悪口だとか、山田におすすめの女子社員とか、、、

俺は聞いてるフリをしながら、入口のドアをチラチラ見ていた。
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