俺が愛した、あおいの話
「ちょっとぉ、和也さん!聞いてますぅー?」
ひとみちゃんが腕を絡めた。

「…もちろん、ずっと聞いてますよー」
その腕をゆっくりほどいた。

ふてくされたような顔をしながら、
彼女は俺の方を向いて、
「じゃあ、本題にいきますね!」
そう言って背筋を伸ばした。

「…本題?」

「はい!どうして、あたしじゃダメなんですかぁ?」

「…どうしてって」

山田の方をチラッと見る。
首を左右に振っている。

確か今日の昼休みの時だ。
山田にも同じことを訊かれた。

「知りたいとも思わないから」
俺は正直な気持ちを述べた。

あんまりですよと山田は言った。
それはキツイって、少し怒ってた。

今だってなんか合図してるけど、
なにがなんだか、、、理解に苦しむ。

「…その話はもう、いいんじゃないのか」

「理由くらい教えて下さいよぉー。じゃないと納得できないですってー。あたし、初めてなんですからね?告白したことも、フラれることも」

「それは、なんか…申し訳ない」

「謝らなくていいですよぉー。理由を聞いたら諦めますから」

「…そんな簡単に諦められるの?」
思わずボソっと呟いて、

「ゴメン、ゴメン、こっちの話!」
そう言ってすぐに誤魔化した。
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