【短編】君と卒業式
「……」
「……」
多分、マオはびっくりしただろうけど、何も言わない。
それから、握った手を握り返してくれた。
「…嫌だ」
「……」
「なんで、離れんの…マオ」
「……」
喉の奥が痛くなりながら、私は必死に声を出す。
話せば話すほど、涙が出てきそうになるのはわかっているのに。
「…マオ、本当は寂しくないんだよ。だから…私のこと置いて、寮なんかに行くんだっ」
カヨちゃんが遠くに行っちゃうのは、ずっと前からわかっていたことで。
だからここで私が一人ぼっちになることわかっていたのに、マオはわざわざ離れた学校に行くのを選んだ。
なんでよ。