【短編】君と卒業式
「サユカ!」
聞き慣れた声に名前を呼ばれて、トクンと軽く胸が鳴る。
「帰ろーぜ!」
そう言って、私の方にやってきたのは、幼なじみのマオ。
カヨちゃんとマオ、私たち3人は幼稚園の頃からいつも一緒だった。
家が近くて、本当に何をするにも3人一緒だった。
卒業証書と卒アルと花束を持ったマオ。
少し天パで、いつも前髪が気になってて、ほうれん草が嫌いな彼。
そんな彼とも、一緒に通学路を歩くのも最後。