【短編】君と卒業式
「え?」
「だから〜ちょっとじゃなくて、かなり寂しいから」
そう言って、すぐ目をそらしたマオの耳が、ほんのりピンク色になっていて、少しニヤニヤしてしまう。
マオは小悪魔だ。
突き放したと思ったらすぐに引き寄せて甘い匂いを漂わせるようなやつだ。
好きなのがムカつく。
私は、マオのことはずっと昔から好きで。
けどいつからだろう。
きっと、マオが学ランを着だして、体育の授業が男女別れることになった辺りから。
私はマオを男の子として完全に意識しちゃっていた。