チョコレート中毒
チョコクッキー
ミーンミーンって蝉の声と、暑さから下敷きやノートで扇ぐ音。
午後の授業の終わり頃にとなると、もう集中力なんて残っちゃいない。
しかもクーラーが壊れていて溶けてしまいそうだ。
「もうすぐ夏休みと浮かれているやつもいると思うが、その前に期末テストがあるからな。」
ハスキーな先生の声が気怠さの混じった教室に響くと、その気怠さは一層に増していった。
「うっわ、最悪。」
1人が喋ると水面に落ちた水のように皆が喋り出す。
「今回マジ分かんねんだけど。」
「いや、お前の場合今回もだろ。」
「誰か勉強教えてやぁ。」
「やばい、勉強全然してないわ。」
「ゆうて毎回点数よくない?」
いろんな声が教室中を飛び交う。
そんな中チャイムが鳴り、授業の終わりを告げた。
「ちかぁ!お願い!」
号令が終わると直ぐ、友達の美咲が私の席に来た。
またか。
最後まで聞かなくとも、その内容は理解できた。
最早、毎回恒例のテスト前の勉強会。
「いいよ、今週の土曜日にね。」
「千花さま‼︎」
両手を合わせて、子供の様にキラキラした目を私に見せる。
いい加減勉強すればいいのに。
可愛いやつだ。