許し方がわからなくて
(湊side)

「おい、お前…どうやって椎の番号手に入れた?オレのスマホ勝手に見たのか?」

美堂キョウダイが出ていったあと。

まずは冷静になって、冴と向き合う。

今すぐ椎を追いかけたいけど、まずはこちらが先だ。

「だから、私じゃないから!」

しらばっくれるこの女に嫌悪感しか抱けない。

あとは怒りだな。

「どう聞いてもお前の声だろうが!ふざけんじゃねぇぞ!やっと椎が手に入りそうだった所なのに、余計なことしやがって!」

怒鳴り声を上げるオレに、やっと事態を飲み込めたのか、ひきつっていく冴。

「だってっ!私の方が湊のこと好きなのに!」

金切り声がうるせぇ。

「はぁ?!オレが好きなら、そんな汚いマネすんな!嫌われて当たり前の行為だろうが!しかも昔から脅してたって、ふざけんじゃねぇぞ!オレは椎しか見てなかったんだよっ。お前がオレを好きだろうが、オレはその何千倍も椎が好きなんだよ!」

ここで、はっきりさせとかないと、しつこいコイツはまた椎に何かする。

悪いけど、オレは椎しか大事じゃないんだ。

「でもっ…!」

まだ言い淀むコイツの首に手を当て、壁に押さえつける。

「痛っ!」

「お前はまだわかってねぇのか?お前のそれはただの独占欲だ。オレを本当に好きなわけじゃねぇ。明日から仕事に来るんじゃねぇ。クビだ!お前の親にもきちんと伝えておく。脅迫で訴えられるかもってこともな。椎の兄貴は警察官だ。証拠はあるんだ。あの状況で謝らなかったんだ。覚悟しとけよ。」
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