許し方がわからなくて
『杏が教えたの?』

「ああ、はっきりさせとこうかと思って、さっきメールした。自分が浮気したくせに別れたくないとか、バカなヤツがストーカーにでもなったら困るでしょうが!」

「絶対別れないよ。それ以外なら何でもするから。」

臣の表情は真顔で。

泣きそうな顔はもうどこにもなかった。

キレる杏。

冷静な私。

暴言吐きまくりの杏を抑えて、ひとこと。

『じゃあ、市瀬雪くん、私とえっちしよっか?目には目を。裏切りには裏切りを。それでも別れたくないなんて言うの?』

「椎っ!ダメに決まってんだろっ?!」

怒る臣に、固まる市瀬くん。

『ダメ…?ふぅん。そのダメなことしたのは誰…?私が市瀬くんとしても許せるんだよね?私に言ってるのってそう言うことだよね?臣は許せるから、私にも許せって言ってるんでしょ?ねぇ、ちなみに臣の相手って、後ろで固まってる店員さん?さっき、コーヒー持ってきてくれたとき、朝吐きそうになった匂いだったし、今、かなり表情強張ってるから。』

「えっ?!」

驚いて臣と市瀬くんは振り向き、杏は怖い顔で凝視。

「景(けい)…?」

ボーゼンとした顔の市瀬くん?

知り合い?

「ちっ、違うのっ!酔ってて気が緩んじゃって…雪、ごめんなさい!」

慌てて弁解する彼女に。

「何が違うんだ?尻軽女、オレキライなんだよね。別れてくれる?あと、臣…いや、仰月、二度と話しかけんじゃねぇよ。お前ら尻軽同士お似合いなんじゃね?行こうか、椎ちゃん?あとよろしく、杏ちゃん。」

この状況に混乱しまくってる私の手を引いて、市瀬くんはどんどん歩いていく。



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