ただ、そばにいて。
2)ひとりの夜
予定よりも早い時間だったので、最終前に地下鉄に乗ることができた。
階段で地下におりると、ちょうど南方面に向かう車輛が到着するところだった。
車内は仕事帰りのサラリーマンや学生らしき団体で混んでいた。
ヘッドフォンで外界を遮断する若者。
スマートフォンの画面を必死で追いかけるOL。
ロングシートの端では、酔っぱらいがブツブツとひとりごとを言いながらポールを抱きしめている。臭い息が、こっちまで漂ってくるようだ。
酔っぱらいの周りは、まるでバリアでも張ってあるかのように空間ができている。
他人と関わりを持ちたくない人間たちで作られた、孤独で無機質なコミュニティ。
そのなかに紛れていると、たまらなくほっとした。
ひとりでいることを責められず、普通でいられる。
階段で地下におりると、ちょうど南方面に向かう車輛が到着するところだった。
車内は仕事帰りのサラリーマンや学生らしき団体で混んでいた。
ヘッドフォンで外界を遮断する若者。
スマートフォンの画面を必死で追いかけるOL。
ロングシートの端では、酔っぱらいがブツブツとひとりごとを言いながらポールを抱きしめている。臭い息が、こっちまで漂ってくるようだ。
酔っぱらいの周りは、まるでバリアでも張ってあるかのように空間ができている。
他人と関わりを持ちたくない人間たちで作られた、孤独で無機質なコミュニティ。
そのなかに紛れていると、たまらなくほっとした。
ひとりでいることを責められず、普通でいられる。