大事な人
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14:57
『816号室』
陽菜「これで落ち着くと思うので、今日は一日様子見でお願いします。あとで、カルテ書いておきます。」
看護師「はい。わかりました。よろしくお願いします。」
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15:15
『8F廊下』
処置後、廊下を歩いていると…
ブーブーブー……
陽菜「はい、伊戸川です。」
高瀬(お疲れ、高瀬だけど。)
陽菜「先輩?どうしたんですか?」
高瀬(今日、入院した18歳の患者さんなんだけど、今診察しようとしたら男の人が苦手らしくて、拒否られちゃったんだよね。)
陽菜「あぁ、お昼に入院した子ですか?」
高瀬(そうそう、俺が主治医なんだけど、男の人苦手じゃ診察すらできないしさー。それで、松永先生にお願いしようと思って電話入れたら、今日から学会で一週間戻らないって言うし…)
陽菜「あはは笑 それは大変でしたね笑」
高瀬(だからさー、ぜひとも陽菜ちゃんにお願いしたいわけよ。大丈夫?)
陽菜「あ、はい。受け持ちの患者さんそんなに多くないんで大丈夫ですよ。」
高瀬(ほんと?すごい助かるよ。俺にも手伝えることあったら言ってね。)
陽菜「わかりました。病室ってどこですか?」
高瀬(731号室の山川彩香ちゃん、一応今看護師さんと一緒に検査に行ってもらってるから、18時ぐらいまで戻ってこないと思うから終わったら看護師さんから連絡入れてもらうようにしておくよ。薬のオーダーはもうしておいたからね~)
陽菜「了解です。ありがとうございます。」
高瀬(いえいえ~よろしく~笑)
ピッ
18歳の患者さんか……
どんな子かなぁ…それまで残ってる仕事終わらせよ。
17:35
『心臓血管センター 医局』
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カタカタカタ……
よし、だいぶ片付いた~…(-.-)
そこへ同じ科の、樋口先生が…
樋口「陽菜先生、五十嵐さんって見かけた?」
陽菜「いえ、見てないですけど…」
樋口「電話しても出なくてさ、夜のカンファレンスの用意してもらいたかったんだけどさ~」
陽菜「そうなんですね、もし見かけたら声掛けておきますよ。」
樋口「ほんと!まじ助かるよ。ありがと。」
陽菜「いえいえ。」
看護師「樋口先生!患者さんのご家族が見えましたよ!早く!早く!」
樋口「はーい、今行きます!!見かけたら、よろしくね笑」
陽菜「了解しました~」
あと、もう少し片付けちゃおうかな…
カタカタカタ………
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ブーブーブー……
陽菜「はい、伊戸川です。」
五十嵐(7北の五十嵐ですけど、彩香ちゃんの検査今終わりました。これから、病室に戻って点滴準備します。)
陽菜「ありがとうございます。分かりました。」
ピッ
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そういえば、今の電話って五十嵐さんだったよね?笑
病室に行ったら、さっきのこと言ってみよう。
18:10
『731号室』
コンコン
陽菜「失礼します。」
五十嵐「はーい。」
陽菜「初めまして。入院中、山川さんの担当になりました。伊戸川です。よろしくお願いします。」
彩香「よろしくお願いします。」
五十嵐「今、点滴を入れるところです。」
陽菜「分かりました。山川さん、とりあえず検査結果が出るまでは、発作が起きないように入院中は点滴をしてもらうようになっちゃうけど…シャワーは明後日から入っても大丈夫だけど、シャワー中は薬を止めるからその時は看護師さんに言ってね。」
彩香「分かりました。」
五十嵐「うーん…血管見つからないなぁ((+_+))……」
陽菜「出てきません?」
五十嵐「15分ぐらいやってるんですけど、出てこなくて…」
若い子は、血管細いもんなぁ~…
それに、体調が悪いと余計血管も細くなるんだよな……
陽菜「あ!五十嵐さん、そういえばさっき樋口先生がカンファレンスの準備が~とか言ってましたけど…電話しても繋がらないって言ってました笑」
五十嵐「あ!そうなんです。このあと準備しようと思ってて。」
陽菜「そうなんですね。点滴、私しておきますよ。」
五十嵐「いやいや、先生もお忙しいだろうし…大丈夫ですよ。」
陽菜「この後は、呼び出しされない限り暇ですから笑」
五十嵐「じゃあ、お言葉に甘えて。いいですか?」
陽菜「はい、樋口先生せっかちだから笑」
五十嵐「ありがとうございます。お願いします。彩香ちゃん、じゃあまたあとで来るね。」
彩香「はい、ありがとうございます。」
バタバタ……
陽菜「よし、じゃあよろしくお願いします笑」
彩香「……はい。」
陽菜「ちょっと、腕の色が変わってきちゃってるから一回駆血帯取るね。」
彩香「はい…。」
陽菜「彩香ちゃんは、趣味ってあるの?」
彩香「はい、お菓子作りが好きです…。」
陽菜「そうなんだ!私も休みの日は、ケーキ作ったりしてるよ!」
彩香「何を作るんですか?」
陽菜「うーん…一昨日の休みは、ガトーショコラ作ったよ。色戻ってきたから、腕締め付けるね。」
彩香「はい、ガトーショコラは作ったことないなぁ。」
陽菜「意外と簡単だよ。ネットとかでもレシピ出てるし!じゃあ、刺すからちょっと痛いかも…」
彩香「退院したら、作ってみようかな…痛くない…大丈夫だった!」
陽菜「よかった、じゃあ早く退院しないとね!よし、これでちゃんと入ってるから、点滴が落ちなくなったらナースコール押してね。」
彩香「はい、ありがとうございます。」
陽菜「どういたしまして~今日はもう検査はないけど、明日と明後日はちょっと多いかも…ごめんね。」
彩香「分かりました。大丈夫!」
ブーブーブー…
陽菜「ちょっとごめんね。」
彩香「はい。」
陽菜「はい、伊戸川です。」
看護師(先生、810号室の吉野さんが胸痛を訴えてるんですが…今大丈夫ですか?)
陽菜「分かりました。すぐ行きます。」
ピッ
陽菜「彩香ちゃん、もう行かなくちゃいけないんだけど…またあとで来るね。ごめんね。」
彩香「はい、分かりました。」
ガラガラ…
ブーブーブー…
ん?吉野さんのところからかな?
陽菜「はい、伊戸川です。」
看護師(救急の斎藤です。さきほど運ばれてきた患者さんなんですが、月に一度外来のほうで、伊戸川先生に掛かってらっしゃるんですけど…)
陽菜「えーと、名前は?」
看護師(シマバラトシオさん57歳です。)
陽菜「状態はどうですか?」
看護師(電車内で胸痛を訴えて、意識消失し駅員さんが救急要請しました。救急隊到着時は意識レベル300で、救急搬送中にCPA、直ぐにCPRし、センターで救急処置をして、現在はROSCし、投薬治療中です。)
※CPA...心肺停止 CPR...心肺蘇生 ROSC...心拍再開
陽菜「分かりました。今、他の患者さんの呼びだしが掛かってるので終わり次第すぐ行きます。担当の先生はどなたですか?」
看護師(分かりました。担当医は吉本です。吉本には私から伝えておきます。)
陽菜「はい、お願いします。」
ピッ
島原さんか、たしか今週外来だったのに来なかったんだよなぁ…
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18:40
『810号室』
コンコン
陽菜「失礼します。吉野さん、どうされました?」
吉野さん「あのなぁ~、胸が押されてる感じがするんよ。今はだいぶいいんじゃが、さっきは息をするのも大変じゃった。」
陽菜「うーん、たぶん発作だと思うので、薬追加しておきますね。それが効けば息苦しいのもとれると思いますよ。」
吉野さん「そうか~そうか~。忙しいのに悪かったのぉ~。」
陽菜「大丈夫大丈夫!ちょうど空いてたから!」
吉野さん「そうか~それなら良かった~、わしはな先生は呼ばなくていいって言ったんじゃが…念のためって言われてなぁ、悪かったのぉ~。」
陽菜「ううん、発作がひどくなるまでよかったよ。これからもちょっと変だなって時に看護師さん呼んでね。」
吉野さん「わかったよ~」
陽菜「伊藤さん、今の点滴と一緒に抗不整脈薬も追加してください。速さも同じで。」
看護師「分かりました。」
陽菜「じゃあ、吉野さんまた様子見に来るからね。」
吉野さん「おぉ~、またなぁ~」
陽菜「じゃあ、お願いします。」
ガラガラ…
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よし、島原さんのところへ行かないと。
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