大事な人




パタパタ…


18:58
『救命救急センター』


陽菜「お疲れ様です。循環器の伊戸川です。吉本先生はいらっしゃいますか?」




看護師「はい。今医局にいらっしゃると思います。お呼びしましょうか?」




陽菜「あ、医局に行ってみます。ありがとうございます。」











コンコン…

『救命救急センター 医局』



陽菜「失礼します。循環器の伊戸川です。」




吉本「あぁ!え!伊戸川先生、お待ちしてました。島原さんの担当医の吉本です。運ばれてきたときに、伊戸川先生が主治医だっていうのが分かったので、一応連絡をしました。お忙しいときにすみません…」




陽菜「いえいえ、私のほうこそ遅くなってしまいすいませんでした。それで、島原さんの容体は?」





吉本「気にしないでください!!あ、島原さんのところへご案内します!!」





陽菜「はい。」




吉本「いや~びっくりしました。僕、まだここにきて5カ月しか経ってないんで、職員の方の顔とか全然分かんなくって…看護師さんに伊戸川先生のことを尋ねたら、優秀な先生ですよって言われたんですよ。だから、てっきりおじちゃん先生かと思ったんですよ!笑 だから、怖い先生が来たらいやだな~って笑」





陽菜「フフ……吉本先生って面白いんですね笑」





吉本「そうですか?!気にしたことなかったですよ!僕、26なんですけど、伊戸川先生はおいくつなんですか?同じぐらいに見えるんですけど……」





陽菜「アハハ、違いますよ笑 29です。」





吉本「そうなんですか!若く見えますね!」





陽菜「あぁ、ありがとうございます笑 よく言われるんですよ、患者さんに。こんなねーちゃんが担当医で大丈夫か!って笑」





吉本「そんなことはないと思います!!僕、将来的には循環器の道に進みたいんです!研修医の今から、専門的に勉強してるんです!」





陽菜「そうなんだ!もし、分からないところがあれば私でよければ質問してください!私もまだまだ下っ端ですけど笑」





吉本「ありがとうございます。すごくやる気が出ました!!」





陽菜「いえいえ、未来の後輩には頑張ってもらわないと笑」





吉本「頑張ります!!!!あ!こちらです!!斎藤さん、伊戸川先生がいらっしゃいました!!」




19:06
『救命救急センター ICU』



斎藤「お疲れ様です。先ほどはお忙しいときに失礼しました。」





陽菜「わざわざ連絡ありがとうございました。それで、島原さんの容体はどんな感じですか?」





吉本「はい、電車内で胸痛を訴えて意識が混濁し、駅員さんが119番要請しました。救急車内でレベルが300まで落ち、その後CPA、その状態でセンターへ運ばれてきました。CPRをし、25分後にROSC、現在は意識は戻っていませんが、呼吸、血圧ともに安定しています。」





陽菜「分かりました。また意識が戻ったら連絡してください。」





斎藤「はい、担当医のほうはどうしましょうか?もともとは陽菜先生の患者さんでしたし…」





陽菜「いえ、吉本先生は循環器が希望のようですし、このまま吉本先生に担当してもらいます。一般病棟に戻ってもそのまま吉本先生にお願いしようと思っています。もちろん、私もサポートに入りますし、指導医の方もいらっしゃるので…。」





斎藤「分かりました。では、そのように指導医に伝えておきます。」





陽菜「はい、私のほうからも連絡します。」





吉本「伊戸川先生!よろしくお願いします!!僕頑張ります!!!」





斎藤「くれぐれも陽菜先生にご迷惑のないようにしてくださいね。」





吉本「はい!!」





陽菜「こちらこそよろしくお願いします。」






吉本「よろしくお願いします!!!!!」




ブーブーブー




陽菜「はい、伊戸川です。」





高瀬(今大丈夫?)





陽菜「はい、どうしたんですか?」




高瀬(あとで、彩香ちゃんの引き継ぎとか、他の患者さんのことで相談したいことがあるんだけど、時間取れる?)




陽菜「はい、大丈夫です。今救命にいるので、そのあと医局に戻ります!」




高瀬(別に急ぎの用件じゃないから、そんな急がなくても大丈夫だよ。さっき、看護師さんが陽菜先生が忙しそうに廊下を通過してたって言ってたし笑 暇になったときで大丈夫だから!)





陽菜「分かりました。ありがとうございます笑」





高瀬(ん、じゃあな~)





ピッ




斎藤「先生、大丈夫でしたか?」





陽菜「はい、そんなに急ぎの用件ではなかったので。」






吉本「先生!僕、今日当直なので手伝えることがあったら、言ってください!」





陽菜「ありがとうご―――。」
藤田「陽ー菜ー先ー生ー!!!!!」
  「探しましたよ~!もうどこ行ってたんですか!電話も繋がらないし!」




陽菜「ちょっとすいません笑」





斎藤「いえいえ、お気になさらず笑」





陽菜「美穂ちゃん!どうしたの!繋がらないって…今まで、高瀬先生と電話してたよ笑」





藤田「そうなんですね~!もう、またどっかで倒れてるんじゃないかと思っちゃいましたよ!」





陽菜「ごめんね。そういえば、なにかあったの?」





藤田「あ!そうです!陽菜先生用があるのに携帯の電源が切れてて繋がらないって、病院に雄輝先生から電話があったんです。それで陽菜先生のPHSに繋げようと思ったんですけど、できなくて…電話にも出ないし、それで探してたんです!」





陽菜「そうだったんだね。迷惑かけちゃってごめんね!」





藤田「いえいえ!大丈夫です!それより、雄輝先生には陽菜先生を見つけ次第折り返し連絡するって言っちゃいましたから、用が済んだら医局に戻りましょう!」





陽菜「分かった。もうそろそろ戻ろうと思ってたところだから、行こっか!」





藤田「早くしないと遅ーいって言われちゃいますよ~笑」






陽菜「大丈夫だよ~。」





藤田「もう!笑 早く行きますよ~」






陽菜「じゃあ、吉本先生と斎藤さん。私、今日当直なので何かあったらいつでも連絡して下さい。」





吉本・斎藤「(はい、)分かりました。」





藤田「じゃあ、行きましょう!おじゃましました!」





パタパタパタ…




吉本「斎藤さん、雄輝先生って何科の先生なんですか?」





斎藤「え?!吉本先生知らないんですか?」





吉本「だってまだ僕この病院にきて5カ月ですもん。」





斎藤「5カ月もいて知らないんですか?!珍しいですね笑」





同期の研修医1「流石に俺も知ってるよ笑」





斎藤「呼吸器のドクターで、ルックスも良くて、患者さんからの人気もあって、仕事も優秀でスタッフからも人気があるんですよ!なおかつ、美人な奥さんをもらったって、有名ですよ笑」




同期の研修医1「俺も雄輝先生みたいになりたいわ~笑 そしたら可愛い子と結婚できるんだし笑」


同期の研修医2「お前じゃ、無理だな。雄輝先生だからじゃない?笑」


同期の研修医1「そっか~そうだよな笑」




吉本「そんなに有名なんですね!!!僕知らなかったですよ~!それより、そんなに奥さんきれいなんですか?!見てみたいっす!」








斎藤・同期の研修医1・2
「今まで会ってたじゃん!!!!!」








………



吉本「えーーーーーーーーー!!!!!!!さっきの看護師さんですか!!!!!!!!」





斎藤・同期の研修医1・2
「違うわ(違いますよ)!!!陽菜先生だよ(ですよ)!!!!!」






………





吉本「………………うそ…………………」




同期の研修医「ほんとだよ笑 なんで嘘つかなきゃいけないんだよ笑」





吉本「まじか…………雄輝先生という人を俺は見てみたいな……」





同期の研修医1「最初に言っとくけど、雄輝先生と陽菜先生の間には一生は入れないと思うぜ笑 入れたとしても多分雄輝先生に殺されるんじゃね?笑笑」




同期の研修医2「あの二人、遠くからでもラブラブだなってオーラが出てるから笑 俺も将来ああいう夫婦になりたいな~」




同期の研修医1「お前はその前に彼女見つけろよ笑」




同期の研修医2「お前もな笑」




吉本「うそだろ…………((+_+))」




斎藤「ほら!吉本先生、今日の患者さんのレセプトして下さい!!しょげてる暇はないんですからね!」








吉本「ウゥゥゥ………………はい……」


僕の運命の人はどこですか…………(~o~)



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