媚薬と私
次の日の朝、由紀子から「よろしくお願いします」というメールが来ていた。
僕は昨夜、深夜2時まで焼き鳥屋の検索をしていた。
どれも行った事がないので、何とも言えなかったが、駅前にある所に決めた。
チェーン店だが、ネットで見る限りは店の雰囲気は良さそう。
僕は今回、そこのお店を予約する事にした。
妻は、「昨夜は随分と遅くまでパソコンやってたね。」と僕に言った。
「仕事の調べもので、時間がかかってね・・・。」
僕は妻にそう言った。
全くの嘘ではなく、由紀子と飲む場所を探す前に、仕事関係の事でパソコンを使っていた。
焼き鳥屋に関する履歴は、一応消しておいた。
妻はそれ以上、何も言わなかった。
由紀子とのメールのやり取りも、必ず消すようにしていたのだ。
こんな事をやっている時点で、妻を裏切った事になるだろうか・・・?
妻には悪い気持ちになったが、それ以上に、由紀子に会いたかったのだ。
しかし、これが恋なのかわ、まだ分からなかった。
確実に言える事は、若い頃の恋愛とは違うのだ。
何故なら、僕には妻と子供がいたからだ。
その存在が、由紀子への気持ちを100パーセントにしなかったからかも知れない。
由紀子へは会いたいが、会えなくなったらそれまでと思っている事も確かだ。