媚薬と私
個室部屋には、隅に座っている女の子がいた。
彼女は半年前に職場を退職した、高藤由紀子だ。
「貝瀬さん・・・!」
「お久しぶりです。」
「お疲れ様です。」
彼女は僕を見て、そう言うと、一礼した。
彼女も「みどり」と同じ、僕の元部下だった。
デイサービス時代、一緒に仕事をした仲間だ。
まさか、彼女が来るとは・・・。
今日参加する、6人には入っていなかったはず・・・・。
彼女は、髪を短く切っていて、僕はそれが新鮮だった。
「まさか高藤さんが来てるとは、思ってなかったよ。」
僕は彼女から少し離れた向かいの席に座りながら、言った。
「石黒さんから、連絡が来たんです。」
「みどりさんの送別会を、内々でやるから、来ないかって・・・。」
「私も久しぶりに、皆さんにお会いしたかったから、いい機会だと思って。」
彼女は、少し照れた表情を浮かべながら、僕に言った。