最後の恋
彼はさすが育ちが良いだけあって、お酒を飲む所作までがすごく綺麗に見える。


だけど育ちの良さだけじゃない彼の持ってる魅力がより一層そう見せているのだ。


そういえばいつも姿勢の良かった彼を思い出した。


だけど、図書室に誰もいなくて2人だけの時は、少しだけいつもの彼よりもリラックスしてカウンターに突っ伏し大きな欠伸をしていた時もあった。


『ご飯の後って眠くなるよね。』


そんな可愛いセリフを言う彼に私の胸は密かにキュンキュン鳴りっぱなしで大変だった。


教室では決して見られない無防備な彼を図書室では見ることができた。


「なんか嬉しそう。」


いきなり言われた言葉に、過去へと戻っていた私の意識が呼び戻された。


目の前の彼がやたら嬉しそうに私を見ている…


「何、考えてたの?」


そう聞く彼の声はすごく楽しそうだ。
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