最後の恋
こんな事は初めてだったーーー


恥ずかしいのか何なのかさえ自分でもよく分からなくて、感情が高ぶっていたせいなのか涙が勝手に流れ落ちた。


「杏奈…可愛い。」


彼の手が額に張り付いた髪を流すように髪をなで上げると、露わになった額に小さな音を立てて優しいキスを落とす。


そして、瞼、頬、耳へと涙の跡を追うように彼の唇が滑り落ちていくと、彼が少しだけ顔を浮かし私の顔を愛しそうに細めた目で見つめた。


目が合うと恥ずかしいけど幸せで胸がギュンッとなった。
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