最後の恋
「杏奈…お前、ストーカーにあってんだろ?」


もしかしたら、タケはさっきのタクシーの中から住宅街を抜ける間にそれらしき人の姿を確認したのだろうか……


タケは決定的なことは何も言わなかったけど、何かを確信しているような目をしていた。


「…ストーカーっていうか、最近、誰かに見られてるような気がしてたことは確か…」

「いつからだよ。」

「…3ヶ月くらい前から。」

「そんなに…。彼は知ってんのか?」


首を横に振っただけの私に、タケの呆れたような溜息がこぼれたと思ったらタケの声が怒りを含んだものに変わった。


「なんで、そんな大事なことを言わねぇんだよ。何かあってからじゃ遅いんだぞ、わかってんのかよ、お前は!」

「…でも、実際に何かされたわけじゃないし、私の気のせいかもしれないと思って

「それでも、3ヶ月も気のせいが続くわけないだろ!!だから、お前はダメなんだよ。」


タケがこんなにも怒ってるのは、全部私を心配するあまりのこと…


それが分かっているから、私も何も言い返す言葉がなかった。
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