最後の恋
「とにかく、お前はもう少し危機管理を持て!そして、今日はこのままホテルに泊まれ!後のことは、この後また話すから、ちょっと待ってろ。」


そう言うと、タケがフロントに向かうためなのか席を立った。


「タケ!ちょっと待って…」

「…なに?」


呼び止められて振り向いただけの顔は怒ったままで、私はもうなにも言えなかった。


「…すぐ戻るから、お前はなにも心配すんな!」


そう言ってフロントに向かったタケがしばらくしてから戻ってきた。


「ほら…」


ぶっきら棒な言葉とともに目の前に差し出されたのは、ホテルのルームキーだった。


顔を上げて見上げた先のタケは、さっきとは違って今は怒っている様子は見えない。
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