最後の恋
「私もそうだけど今日は突然だったし良かったらまた後日、日を改めてゆっくり会わない?さっきの彼をあまり待たせても申し訳ないし。…どうかな?」

「…そうだね。私も今は頭がうまく回らないみたい…」


もう、今更過去を蒸し返すために会わなくても…一瞬でもそんな風に思ってしまった私は薄情者だろうか。


「うん、そうだよね…。」

「でも、さっきの人はそんなんじゃないから幼馴染だから…」

「あ、それって昔住んでたところの?一度聞いたことあったよね。隣に住んでた幼なじみの男の子の事…。そっか、今のがその彼なんだ。素敵な人だったね。」

「…そうか、な?」

「ふふ、お似合いだったよ。美男美女の素敵なカップルで。」

「私たちは…


その時、彼女のスマホに着信が入ったようだった。


画面を確認した彼女の目が私に向けられると


「…ごめん。私も時間切れみたい。これ、私の連絡先なんだけど…」


そう言って彼女は私に名刺のようなものを一枚差し出した。
< 141 / 277 >

この作品をシェア

pagetop