最後の恋
彼は今夜は夕食はいらないと言っていた。


ゴルフのあとにも何か用事があるのか、そこまでは立ち入って聞く事はしなかった。


彼から話してくれる時以外は、なんとなく聞いちゃいけない気がしていたから…。


マンションに帰る前に銀座まで少しだけ足をのばして帰ることにした。


私一人なら、今夜の晩御飯はお惣菜でも買って帰ろうと思った。


いつ来ても、デパ地下はテンションが上がってしまう。


どれも美味しそうで、どれも食べたくて目移りして中々決められなくなる。


ある意味、マンションを決める時以上に迷い食後のデザートまで購入して帰って来た。


彼が帰って来た時に直ぐに入れるようにお風呂の準備だけを済ませ、まったりと広いリビングの床に座りながら買って来たご飯を食べていた。


この家は広すぎて、やっぱり一人は寂しい。


ご飯も美味しいのに、一人の夕飯は味気なく感じた。
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