最後の恋
一ノ瀬君の彼女が紫乃でも構わない。


私は見ているだけでも幸せだから。


だけどこの場所だけは、私にとって唯一の特別な場所だったから。


でも一ノ瀬君にとってはそうじゃないのは当たり前で、彼を好きになって私は初めて涙を流した。


ずっと平気だと思ってた。


この1年、紫乃の友達として二人の仲の良さは近くで見てきた。


紫乃から彼との話を聞いてもちゃんと笑えていたし、幸せそうな紫乃を見て可愛いとも思った。


だけど自分でも気づかないうちに、私の心には小さな切り傷がたくさん出来ていたみたいだ。


ジクジクとした痛みが心を占めて、昼休みの終わりを告げるチャイムがなっても私は立ち上がる事が出来なかった。
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