最後の恋
だけど、それがあったからこそ私は長年、目を背けてきた事からも彼らとも向き合おうと思えたのも事実だった。


許してもらえるか分からなくても、私は自分の間違いを認め彼に謝り自分の本当の気持ちを伝えようと思った。


紫乃と向き合えたその次は…彼と向き合うって決めてきたから。


コーヒーを私の前に置き、隣に座った彼に向き合うように顔を上げた。


「本当に…ごめんなさい。」


頭を下げてまず一言そう伝えると


「その謝罪って、別れを取り消すって事でいいんだよね。もちろん、それ以外の謝罪は受け入れるつもりもないけど。」


下ろした頭をあげ、彼を見るとその視線が私を射抜く。


胸がドキンっと大きな音を立てた.


視線をそらすことなく、私は嘘偽りのない本心を口にする。
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