最後の恋
真剣な彼の様子に私も自然と背筋を伸ばした。


「杏奈、もう一度俺と結婚を前提に付き合ってください。」


至近距離で私を見つめる彼の視線と私の視線が絡まる。


「…はい。こちらこそ、お願いします。」


彼に精一杯の笑顔を向けて微笑んだ。


そんな私を見て、彼も幸せそうに笑って私の頬に流れる涙の雫をそっと優しく拭ってくれた。


徐々に彼の顔が近づき、瞼にキスが落ち目を閉じた。


それからまたお互いの顔が見える距離まで顔を離し、また見つめ合う。


言葉なんて必要なかったけど、私は今の思いを言葉に出したかった。


「…大好き。」


「俺は、愛してるよ。」


その言葉を合図に、顔中にキスの嵐が降り注がれていく。
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