最後の恋

「うー…美味しぃー…」

彼の作ってくれるお鍋の具の中で、トロトロになって味を含んだ白菜が特に大好きだった。

今日も安定のトロトロ具合に大満足の私。

「ママから栄養たくさんもらって大きくなれよ。」

洗い物までしてくれた彼がソファに座ると、彼の手がお腹をさすりながら優しい声で赤ちゃんに話しかける。

子供達にもパパの声が聞こえたのか、お腹の中で動いたのが分かる。

「お!今動いた。本当に元気だなぁ。」

彼が私を見て優しく微笑むと、彼の顔が少しずつ近づいてくる。

未だにドキドキと高鳴るこの胸は、彼のことが大好きだという証。
< 257 / 277 >

この作品をシェア

pagetop