最後の恋
「ありがとう、お母さん。」

「何かあったらすぐに連絡してね。それじゃあ、また来るから。」

手を振る母をエレベーターの前で見送った。

扉が完全に閉まると途端に寂しくなった。これじゃあ、本当に子供みたいだ…。しっかりしなきゃ。

2人分の大きなお腹を抱えながら、部屋に戻った。

「個室の方が気を使わなくていいんじゃないの?」と彼には言われたけど、私はあえて大部屋を希望した。

個室料金云々ではなく、ただ単に怖いからという単純な理由。
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