最後の恋
今回の病院は、小児科と産科のみの比較的新しい病院のため、建物もまだ新しかった。

それに大部屋と言っても、一般的によくあるような隣のベッドとの仕切りがカーテン一枚ではない。

隣のベッドとの間は壁になっていて、 その壁一面には簡易クローゼットと棚が作り付けられていた。

収納も文句なしだし、インテリアもおしゃれだし、ある程度のプライベートも守れる。

大部屋とは言え、個室感覚でいられる大部屋に私は大満足だった。

母が帰って1人になった部屋で、棚に置かれた新しいノートとボールペンを手に取った。

ベッドに座り可動式のサイドテーブルを近くまで引き寄せる。

ノートの1ページ目を開き、一番上の段に今日の日付と曜日、天気をまず書いた。
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