最後の恋
1組の教室に入ると、初日の今日は場所もまだ決まっていないようで、みんな好きな場所に座っているようだった。


ほとんどの人が席についていた中、教室に入ったのが最後になった私は空いていた先生の教壇の真正面の席に座った。


どこに誰が座っているのかなんて、今は余裕がなくて周りに目を向けられなかった。


チャイムがなり、新しい担任が教室に入ってくるとざわついていた教室が静かになった。


短いHRが終わると、私はスマホを持って急いで教室を飛び出た。


私たち2年の教室がある3階の上は屋上がある。


1組の教室のすぐ真横にある階段を上に登り、屋上につながるひと気のない踊り場でスマホの着信履歴から彼女の名前を探した。


すぐに見つけたその名前をタップする。


早く紫乃の元気な声を聞いて安心したかった。


なのにーーーその電話が彼女につながる事はなかった。
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