最後の恋
だけど、他からチラリと聞こえてくるいくつかの噂話もあった。


両親が離婚して、うつ病を患った彼女の母親に紫乃は着いて行ったとか…


紫乃の父親は社長で愛人か沢山いたとか…。


どれも出どころの不確かな噂話でしかなかったけど、当初はよく囁かれていた。


だけど紫乃がいなくなって半年が経った今はもう、そんな話をする人はいなくなった…。


この半年の間に何度か行われた席替えでも一ノ瀬君との席はいつも遠くて、同じクラスにはなれたとは言え彼と話をする事はほとんどなかった。


今年もしようと思っていた図書委員は、他にも希望者がいてジャンケンに負けた私は結局人気のなかった美化委員になった。


金曜日のお昼休み、大切だった私の時間も今はもう過去の話。


だけど一ノ瀬君は2年生になってからは図書室へ行かなくなかったのか、金曜日のお昼休みはいつも教室にいた。


もちろん、火曜日のお昼休みも……何もかもが紫乃がいたあの頃とは変わっていった。
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