最後の恋
「…俺らも行きますか!」


空気をスパッと切り替えたようなタケの声で我に返った。


一ノ瀬君はもうとっくに見えなくなったのに、彼の消えた曲がり角をまだぼーっと眺めていた。


「あ….ごめん。家はここから歩いて10分ほどだから!」


慌ててみんなを誘導するように、一ノ瀬くんが歩いていった方向とは真逆の方向に足を進めた。


「みんな、いらっしゃい。」


家に着くと、ママが笑顔で出迎えてくれた。


パパは斉藤さん(我が家の愛犬ポメラニアン)の散歩に出掛けたところらしい。


「おばさん、久しぶり。今夜からお世話になります。」

「杏奈ママ、突然だったのに今日は本当にありがとうございます!!」

「こんばんは、二日間お世話になります。」

「杏奈ママ、お久しぶりです。あと、これ私たちからのお土産です。これはみんなの親からで…おじさんのお酒です。」
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