最後の恋
「…ハイ」

「こちらが、本日付けで我が社の専務に就任された一ノ瀬 礼央専務です。そして専務、こちらが本日付けで専務の専属秘書となりました松野と申します。」

「松野と申します。本日よりよろしくお願いいたします。」


専務に向けて頭を下げる。


そして、もう一度顔を上げた私に今度は専務が言葉を発する。


「こちらこそ。日本に戻れる日をずっと楽しみにしていました。今日から僕のパートナーとしてよろしくお願いします。」


そう言って目を細めた彼は、右手を前に差し出してきた。


握手…ってことだよね…?


もはや、私の心臓は彼を見た瞬間から正常な働きはしていない。


高校を卒業して8年…


その間、一度も会うことのなかった彼が…思い出になった彼が……今、私の目の前で私の手を握っている…。

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