最後の恋
「いいお店だね。時間もなかったのに希望通りのお店を探してくれてありがとう。」

「いえ、これも私たちの仕事の一環ですから。」

「そっか…。だけど、今はお昼休憩の時間だから、お互い仕事は忘れない?」

「……え?」

「仕事では、確かに俺は専務で松野さんは秘書だけど、俺たちはその前に同級生だろ?だから今は元クラスメイトとして接してほしいって事。だから、松野さんも今は敬語じゃなくて昔みたいに話してほしい。俺も、そうするから。」


彼とのランチが、ただのプライベートだったのなら私は彼の誘いを本当は受けるべきではなかったのかもしれない。


だけど、ただの同級生の私が彼の誘いを断ることは出来なかった。


「…うん、わかった。」


彼は、私の返事に安心したのかホッとした顔を見せると


「ありがとう。」


と柔らかな笑みを浮かべた。

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