最後の恋
だけど、仮にそうだとしても私にとっては相当な威力を持つ言葉だった。


「あ…りがとう。私も、一ノ瀬君に再会できて…嬉しい。」


思わず、本音が口からこぼれた。


これくらい元クラスメイトとして伝えてもおかしくないよね…友達なんだから。


彼にそう言ってもらえた事を嬉しく思う私がいる一方で、これからの自分自身に不安を感じ始めている私もいた。


危険信号は出ていたのだ‥再会した瞬間から、確かにーーー。


高校を卒業して、私は都内の大学、彼はアメリカの大学へと進み私たちの歩む道は遠く離れた。


会えなくなれば、時間が経てば彼のことを忘れられる……そう思っていたけど、実際はそんなに簡単ではなかった。


大学内でも街の中でも、背格好の似ている人を見つけてしまうと、もしかして彼なんじゃないかとあり得ない期待をしては…裏切られる。


私の大学生活の半分以上は、そんなことの連続だった。
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