最後の恋
そんな事を考えながら、言われた通り2人分のコーヒーを入れ専務の部屋へと戻る。


「コーヒーをお持ち致しました。」


「ああ、ありがとう。」


とりあえずブラックのコーヒーを専務の目の前に置き、もう一つのコーヒーを向かいまではいかない真ん中あたりに置いた時


「それは君の分だよ。」


彼が当たり前のようにそう言うから思わず「…え?」と彼を見た。


「とりあえず、松野さんも俺のコーヒータイムに付き合ってよ。1人じゃ味気ないしね。」


いたずらな笑みを見せながらそう言った彼に、一瞬戸惑う。


「あの、でも…」


そう言って遠慮しようとした私に彼はそれ以上先の言葉を言わせてくれなかった。


「美味しいコーヒーも2人分あるしね。あ…もしかしてコーヒー苦手だった?」

「いえ…大丈夫です。」

「じゃあ、遠慮せずに座って。」

「…ハイ。じゃあ、お言葉に甘えて頂きます。」


結局、私は専務と一緒にコーヒーをいただく事になった。
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