最後の恋

メニューも手書き風の凝ったオシャレなもので、一ノ瀬君のオススメや気になったものを何品か注文した。


お酒の種類も豊富で迷ったけど、私がワインが好きだと言うと今日の料理に合うワインを彼がボトルで頼んでくれた。


グラスに注がれるシャンパンゴールドの気泡を眺めていると、一ノ瀬君とこうして飲みに来ている今が一瞬、夢のように思えた。


最後に会ったのは卒業式の日だったから、あの頃の私たちはまだ18歳の子供だったのに……今の私たちはあれから8年も経ったお互い26歳の大人になった。


この8年、お互いに見て来た世界も何もかも違うけど、。この8年の月日がギュッと凝縮されて、大人になった彼が急に目の前に現れた不思議な感じ。


「乾杯しよう。」


彼の声で我に返った私の意識が、今の夢ではない現実に呼び戻された。


「あ…うん。」

「じゃあ、ベタだけど俺たちの再会に乾杯でもする？」

「ふふ、じゃあ、ベタだけどそうしよう。」


私たちは、笑顔で乾杯をした。


２人の再会にーーー