溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
なんかそれって、すごくかわいい。帰ったら東吾にも話そうと思いながら、じいちゃんと一緒にお腹をなでる。
「知ってるか、沙奈。子守唄っていうのはな、その名の通り『子を守る唄』なんだ。沙奈の守りになったと、じいちゃんは思ってんだ。少しこったんねぇけど、かんかに育ったからなぁ。沙奈も、マメ太にたくさん歌ってやれ。じいちゃんがいるうちは、じいちゃんがやってやっかんな」
「……うん。ありがとう、じいちゃん。私、じいちゃんの孫でよかった」
「沙奈はじいちゃんの宝物だかんなぁ。じいちゃんのキューピットのおかげで、東吾くんといういい男に貰ってもらえたしなぁ。沙奈のことが好きでたまんねぇなんて、東吾くんの趣味が悪くてよかったな、沙奈」
「ちょっとじいちゃん、すごい失礼なんだけど」
たしかに東吾はいい男ですが、あの人結構手がかかる人なんですよ。今日だって、朝起こすのにどれだけ苦労したか。
「玉の輿だしなぁ。沙奈のためにレストランの名前まで変えるなんて、本当に愛されてんなぁ。この贅沢者め」
まあ、そこも好きだけど……なんて心の中でのろけていた私は、東吾を褒めたたえるじいちゃんの言葉に私はピタリと動きを止めた。