幸せになってもいいですか?


でも、そんなことはよくあること
紗枝も知っているはずだ

まさか、本気で
俺に好きな奴がいると思ったのか?



「ははっ、」


まさか、と
声に出して笑ってしまった
そんなはずはない

わかっている事を
わざわざ言葉や態度に出すほど
無駄なことはないからだ



絶対、手に入らない
手に入れようとしたらダメな人
わかっているけど

わかっているけど…




いつも、思い出してしまう
あの真面目で真っ直ぐな瞳

どうせ、いつもみたいに
外見の良さだけで近寄ってきたオンナどもと同じだと思っていた
だから、いつものように追い払おうと思っただけのつもりだった

まさか、
俺が持っていかれるとは思わなかった

< 124 / 128 >

この作品をシェア

pagetop