幸せになってもいいですか?
羊の皮を被った狼
少し赤くなった手首を
隠すようにカーディガンを羽織る
別に痛くないし
冷やさなくても平気
でも…、と
彼をチラッと見ると
何事もなかったかのように
いつものように仕事をこなしている
さっきのは
なんだったんだろうか
「俺、紗枝さんのこと好きです」
毎日言われ続けている言葉
今更ときめくわけがない
はいはい、とあしらおうとしたが
いつもと雰囲気が違う久慈くん
「紗枝さん、好きです」
再度、真剣な眼差しで
言ってきた久慈くんに
私はなにも言い返せなくなった
今まで見たことがない
真剣な表情眼差しに
私は戸惑ってしまった
羨ましい、
何かに一生懸命で
真っ直ぐな気持ち
私には持ち合わせていないものだ