幸せになってもいいですか?
「東雲くん、入りなさい」
常務室のドアが開き
中から常務が顔を出した
「常務、申し訳ありません。私の方で東雲にはきちんと言い聞かせますので…」
秘書長が頭を下げ
この場を納めようとしたが
常務は私に中へ、と誘導した
「秘書長、きちんと僕の方が説明するよ。この1年、東雲くんの頑張りは僕が一番見ていたからね…。少し借りるね」
そう言った常務はドアを閉めた
二人きりになった私と常務
やはり昨日
お見合いを断ったからなのか聞いたが
常務は違うと言って来た
ならどうして?
「いずれ、世代交代が始まる。そのための準備だよ。紗枝ちゃんが悪いというわけじゃない」