幸せになってもいいですか?
フロアに戻ると
先輩秘書たちの目線が痛い
憐れみの視線や
嘲笑うかのような微笑み
誰も心配や同情なんてしてくれない
「久慈くん、ちょっといいかしら?」
いつもなら
私と打ち合わせするはずの麻里さんが
久慈くんを指名した
辞令が出た以上
当たり前なんだ
でも、信頼していた麻里さんにまで
バッサリ切られたような気がして
悔しくて、情けなくて…
「え、あ、はい」
私の様子を伺いながら
久慈くんは麻里さんと打ち合わせを始めた
私のポジションは
あっさり奪われてしまった
もう、いいや…
何を言っても何をしても
もう無理だと理解した私は
全ての仕事を久慈くんへ託した