幸せになってもいいですか?
目的?
久慈くんを見ると
名刺から孝へと視線を移し
また睨みつけるように見た
「宇津木さんは、紗枝さんの彼氏ですか?」
久慈くんの質問に
ちがうよ、と即答した
孝の答えは間違っていない
だが孝は言葉を続けた
「彼氏じゃないけど、婚約者だ」
その言葉に驚き
久慈くんの目が見開いた
と、同時に私も驚いて孝を見る
「あれ?昨日、言っただろ」
…昨日?と
昨日、孝が来てからのことを思い返す
『あっ…。あれ、本気だったの?』
思い出した私は
あれは冗談というか
ただ私を慰めるための
孝の優しさだと思っていた
「本気じゃないプロポーズってなに?」
あれはプロポーズだったの?
驚いている私の手に
優しく触れて来た