幸せになってもいいですか?
飢えた優しさ


バサッ、と置いたショッピングバック
逃げるように帰ってきた

明日、会社に行くのも憂鬱
玄関にペタン、と座り込んだまま
動くのも面倒

真っ暗は部屋
何事もなく淡々と過ごしていた日常
それが崩壊した


誰かに愛されたいって思ったが
面倒なことはやめて欲しい

はぁ、と大きなため息をつき
バラバラになったショッピングバックを
一つ一つ拾うと
見慣れない紙が目に止まった



何これ?


二つ折りになった紙を広げてみると
手帳を破ったような紙



“二人で食事でも どう?”



綺麗な文字が書かれていた
そして、携帯番号も書かれていた
誘いのメモ紙だが
なぜこんなものが?
いったい誰が?

思い当たるのは
今日会った、彼女…
染川優奈だ

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