幸せになってもいいですか?


やっと昼休み
常務は取引先の会長と会食に出ている
私たち秘書はめったに外に出ない
女の秘書は
取引に使われることもある、と
いつからか外には出なくなった

いつ昼休みをとれるかわからない
だから、毎日お弁当を持参している
毎日、自分で作る弁当
正直飽きている


『…甘い卵焼き、食べたいな』


あの頃、奏くんは
朝早く起きて
私のお弁当を作ってくれていた
自分の分も作ればいいのに、ていうと
「紗枝さんに作ってるから」と
毎日、お弁当が楽しみだった

そして、奏くんが作る
甘い卵焼きが大好物だった



「紗枝さん、甘い卵焼きが好きなんですか?俺と一緒ですね」


そう言いながら
お弁当片手に私の隣に移動してきた久慈くん

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