幸せになってもいいですか?


「常務に捨てられたらしいよ」
「飽きたんだろう」
「そのうち干されるわね」



聞こえてるわよ、と言いたくなる
社食へと向かった私の姿を見た社員
急な人事異動があったため
誰もが疑問に思っていた

誰も真相を知らない
噂だけが飛び交い
常務の愛人である私が
捨てられたと広まったわけだ



「くだらないわね」


『本当ですね』


麻里さんもうんざりしている様子
みんな暇なのね、と笑ったりもした



「秘書長…すごい剣幕だったわね」


『すみません。順序を間違いました』


「まぁ、そうね。でもあなたを引き入れたのは会長だもの。仕方がないわね」


その言葉にぎょっ、とした
なぜ私と会長の繋がりを知っているんだ、と

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