塾カレ
<母 side>
これは、茉鈴が小学6年生の冬の話。
私達は父、私、茉鈴の三人家族だった。
でも…
「…なんで!?なんでよ!!!ねえ!!!!」
お父さんが、末期の肝臓がんで亡くなった
人に迷惑をかけることが誰よりも嫌いだったお父さんは茉鈴にはもちろん、私にももう手に負えない状況になるまで話してくれなかった
私が聞いた時にはもう━━━━━━━━━━━
「俺の寿命はあと1ヶ月。
長く持っても3ヶ月らしいんだ。」
時間がなかった
私はとにかく思い出を一つでも多く作るためたくさんの場所へ出かけたわ。
海から動物園から遊園地まで、茉鈴とお父さんの好きそうな場所全部。
だけど時間は止まってくれるわけじゃなくて…
「あれ、お父さんは?」
「…ちょっとね、お腹が痛いから病院にいるのよ。」
どちらかと言えばパパっ子だった茉鈴は、お父さんのいない家が違和感の塊らしく毎日のようにお父さんのことを聞いてきたわ。
"お父さんは、いつ戻ってくるの?"